マサノリさんからコメントいただきました！！

「こんにちは。
（こんにちは！）

suriaちゃんに是非ご意見を頂きたい銘柄があります。
TBSホールディングス（9401）です。
とても割安だと思うのです。
TBSは現在の時価評価額が4500億円くらいですが、
東京エレクトロンの株3500億円、土地1600億円、現金500億、あと建物や有価証券をいろいろもっています。PBRは0.5です。
いくら衰退しているTV産業の銘柄とはいえ、あまりにも割安に放置されてると思うのですがいかがでしょうか。」

おおう・・・・この半年というもの、あたしもバリュー投資に興味をもっています。「将来の収益がいくらだから適正株価はうんたら」という将来収益から株価を計算する方法と異なり、「６０００億円の財産持ってるのに時価総額が４５００億円はないよね」という、将来予測ではなくて、「現時点において」「明確に安い」と言える点、これが気持ちいいですね。


とはいえ、とりあえず、収益の方をみてみましょうか。

　最新の業績予想では、なんと２５％も増益予定です。説明会の質疑応答で「ＴＶＥＲの広告収入の伸び率が２０％、ドラマの配信が前年比５０％の増収を予定している」ということなので、ネットでの配信事業がうまく行ってる感じなんでしょう。１Ｑ決算でも、実際、配信事業が異常な伸びをみせています。映画や舞台収入も順調です。「テレビで見る」ひとは横ばいかもしれませんが、今後も面白いドラマやバラエティが制作できれば、ネットやリアル経由での利益の伸びは期待できそう。

　とはいえ、ＰＥＲ１５、ＲＯＥも２－３％なので、収益からすると特別な割安感はありません。

　資産をみてみましょうか。１Ｑ決算短信と有報から、換価できそうな資産をみてみると・・・


現預金、売掛金・・・１１３０億円
賃貸不動産の時価・・・３０７８億円（帳簿上の土地建物は２５００億円くらい。）
有価証券・・・７１２６億円（１Ｑ時点。前期末時点での評価は、東京エレクトロン２６１５億円、リクルート８５７億円などなど）

合計１．１兆円となります。ただし、上記は、「賃貸に供していない不動産」≒おそらく本社の土地建物の、しかも時価を加算していないので、これを足すと１．２兆円くらい・・・なのかなあ。

（ＴＢＳＨＤそしてＴＢＳテレビ、ＴＢＳヘクサの本社の赤坂の土地面積は６．８万㎡。ネット検索で出てきた赤坂の㎡単価８５万円をかけると、５８０億円。あれ、簿価より時価の方が安い・・・？バブルのころに買ったのかな？それとも、どこかで時価に評価替えしたんでしょうか。）

１．２兆円から、すべての負債３０７１億円をひくと、９０００億円になります。時価総額４５００億円弱ですから、実質の財産をみても、（たまたまですが）ＰＢＲ０．５倍ですね。



では、「東京エレクトロンだの赤坂の土地建物だのが半額で売られている」ということで、買うべきなのでしょうか。

まず、不動産については、「売却して株主還元する現実的な可能性」はあるでしょうか。賃貸不動産の方はそれなりに利益を出しているので、売却してしまうとＰＬの方に結構な影響がでます。本社を移転して益出し、というのもないでしょうね。ただの推測ですが。

次に、有価証券の７０００億円、これは「売却して株主還元する現実的な可能性」はあるのでしょうか。東京エレクトロン株は実際に一部売っているので、今後も可能性はあるでしょうね。リクルートの株式については、「売出しがあったら売却するかも」と有報に書かれており、リクルートは別に流動性に困っているとは思えないので、売却することは実際はなさそうな雰囲気です。

　中計によれば、６００億円以上の投資有価証券を売却するとしていて・・・・うーん、あんまり、たくさんを売却する気はなさそうですね。それ以外については・・・・・事業提携しているところ以外は、理屈上は一部売れそうですが、売れない何らかのしがらみがありそう・・・・。

　大株主をみると、講談社、ビックカメラ、三井物産、三井不動産など・・・ＴＢＳにケンカ売ってまで、「有価証券を売却して株主還元しろ」と言うメンツではなさそうですし、実際、２０１８年の英国のアクティビストの売却提案は却下されています。

　ということで、大筋としては、中計記載の３年で６００億円程度の売却・・・６００億円のほとんどが含み益で、それに３０％の法人税がかかるとして４２０億円。半分成長投資に使って、残りを配当や自社株買いで還元したとして、株価に対して＋５－１０％くらいかしら・・・

　結局、大株主が利益目的でない保守的な陣営である以上、資産売却して株主還元にまわるのは、アクティビストさんが頑張っても、中計の３年で６００億円がせいぜい・・・・あまり分のいい賭けではないように思いました。

　ＴＢＳをまるごと買収して本社と株式、不動産を全部売りとばせば４５００億円のもうけ・・・計算上はそうですが、実現は難しそうですね。しいて言えば、「少数株主ディスカウント」・・・株主になっても経営に影響をおよぼせないので資産売却できず、よって資産価格を無視して割安で放置されている・・・・というところでしょうか。

　資産価格といっても、近未来で確実に換価されてＲＯＥ３０％で事業に再投資されるプレミアグループやロードスターキャピタルの資産とは性質が違って、バリュートラップにはまりそうかな・・・と思いました・・・すみません。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い１日をお過ごしくださいね。