割引率について!

 


CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋
徳成旨亮 (著)

を読んで、割引率について整理がつきました。あたしは、「成長ゼロと仮定し、FCFを8%で割り戻す」という価格算定をたまに使いますが、この8%という割引率について記しておきたいと思います。

この割引率は、ファイナンスの分野では、「負債コスト」と「株主資本コスト」を加重平均することで計算されます。キャップエムといいます。

負債コストとは、つまりは企業が借金する場合の利率です。格付けにもよりますが、2%くらいでしょう。払った利息は経費になるので、計算では得した税金を控除した1.7%を用います。

株主資本コストとは、「投資家が期待する利回り」です。これが8%の場合は、「8%の利回りがないと出資しないよ」と言っている、ということです。企業側からみると、「株主の資本に対して8%以上稼がないと、誰も出資してくれない」というハードルということです。計算式は、リスクフリーレート(=国債の利回り)+β×リスクプレミアムということになっています。

リスクプレミアムというのは、「債券じゃなくてリスクがある株に投資するんだから、利回りは国債+αじゃないとやだ」という場合のαのことです。日本株では概ね6-7%です。

βというのは株価のばらつきのことで、要するに、「TOPIXより株価が乱高下するなら、その分、利回りを+αしてくれ」という場合のαのことです。あたしが選ぶ小型株は、だいたい1.3~1.5くらいです。

リスクフリーレートつまり国債の利回りは現在、0.8くらいですが、先高観があるのであたしは1%としております。

そうすると、株主資本コストは、1+1.3か1.5×6-7=10%前後というところになります。で、これと、負債コスト1.7%を加重平均しますので、借金と株主資本の割合によりますが、だいたい8%とかになります。無借金企業だと、負債がない=業績のボラティリティがない、となって、βひいては株主資本コストが下がるので、そんなに変わりません。

研究によれば、ROEが8%を超えると株価と相関関係が発生するそうです。これはつまり、株主が8%以上の利回りを要求するので、ROE8%以下であれば投資に値しない、ということだと思います。

また、直接、投資家に「期待収益率はどれくらいですか」と聞くアンケートでも、7-9%くらいになるそうです。

また、インデックス投資も利回りは7-9%くらいですね。8%以下だと、やっぱり、個別株に投資する理由にならないんです。

ということで、割引率は(金利が変われば別ですが)8%がいいかな、と思っています。8%で割り引いた企業価値より株価が高ければ、利回り8%以下になるわけですから、インデックス投資したほうがマシなわけですね。


で!記録しておきたいのは、実はこのことではありません。割引率=資本コストって、負債コストと加重平均されちゃいますが、結局、「投資家がいくら求めるか」ってところが基礎にあるんですね。だから、ベータが1.2なのか1.4なのか、リスクプレミアムが6.8なのか7.1なのか、つまりは割引率が7%なのか9.2%なのかを詰める必要はあんまりない、というのがあたしの意見です。客観的な導出方法はともかく、突き詰めれば「あなたはいくらほしいんですか」という話ですから。あたしなら、「インデックス以上です」で終わりです。「ボラティリティが大きいつまり株価の動きが激しいからもっと収益くれ」とは思いませんので、ベータの正しい数字にも興味ないです。


「このようにCAPMに基づく資本コストは、論理的には正しそうですし、スマートで格好良いのですが、代入する数字によって結果が左右され、何が正しい資本コストかを巡って不毛の議論や数字あそびになりかねないリスクを孕んでいます。」「そのため、私は自社の資本コストについては、主要投資家や株主に直接聞く、ということをMUFG時代から励行してきました。というのも、「資本コストは投資家の期待収益率」という定義に従えば、理屈や数式が導く結論と多少異なっても、投資家が求める期待リターンを資本コストと考えるのがより実践的かつ実務的だと考えるからです。」「投資家からの回答は、7%から9%が大半で、MUFGでもニコンでもさほど変わらないのが実態です」(CFO思考 徳成旨亮著 ダイヤモンド社50頁より引用させていただきます)

いやー、実務的だわ。勉強になるなる。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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