テキストには書いていない決算書の新常識!
テキストには書いていない 決算書の新常識
長谷川 正人 (著)
決算書の新常識!?
や、あなたは旧常識も知らないんじゃ・・・
失礼にゃ!「利益は会社の最終成績である経常利益に注目!」とか、「自己資本比率が低い企業は要注意!」とかでしょ!
うん、それ、旧常識。現代の日本では、借金をがっつりする会社は少なくなってきているの。だから、利息の支払いが少ない。だから、営業利益と、そこから利払いを除いた経常利益、この2つの違いは少なくなってきている。
ほほう・・・じゃあ、事業本体の利益である、営業利益だけをみればOK?
ところが、イファースが広まって、一時的な損失や利益を「含めた」利益を、「営業利益」と表記するようになった。
イファース・・?
ヨーロッパ系の国際会計基準ね。時価総額ベースでは、すでに半分の企業がイファースです。
というようなお話や、ROIC、資本コスト、キャッシュフロー計算書など、決算書やファイナンスの中級の話が書かれていました。
個人的に興味深かったのが、銀行や保険会社の決算書の話。
「一般の事業会社では自己資本比率1ケタ前半というのは危険水準レベルですが、金融ビジネスでは、繰り返しになりますが、「多くのお金は原料として仕入れて(負債)運用して(資産)、お金(収益)を稼ぐ」ため、自己資本比率は1ケタが当たり前なのです。このような金融機関独自の数字のクセ・特性をふまえておかないと、「金融事業がかなりのウェイトをもつ事業会社」すなわちトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、ソニーグループ、楽天グループ、セブン&アイ・HD、イオンなどの連結数値の解釈を誤ることになってしまいます」【同書181頁より引用させていただきます。】
現代では、すぐにお金の運用を始めるので、オートローンのトヨタ、日産など自動車、カード事業を擁する楽天やイオンなど、銀行でなくともお金を貸しつけている会社が多くあります。あたしのポートフォリオのプレミアグループはまさに金融会社だし、オープンハウスだって金融会社を子会社に持っています。
それをふまえないで、自己資本比率が低いとか、ROEが高いとか言っていても、何の意味もない。金融会社であれば、お金を借りて、ほかに貸し付けるのが仕事なんであって、自己資本の10倍くらいは借金があるなんてザラ。きっちり審査をして担保をとって貸している以上、10倍のレバレッジをかけていても大丈夫ってわけです。「儲かるかどうかわからない」普通の事業に10倍のレバレッジをかけるのとは、ワケが違う。
投資に直結する情報は少ないですが、初心者向けの決算書本に飽きた方は、目を通しておくといいと思います。
今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。