ROEはこう使う


ROEは、「株主資本からいくら利益をえたか」という指標です。ある会社に100万円預けて、1年で20万円稼いでくれたらROE20%、10万円稼いだら10%です。

であるから、投資家としては、これが高いほうがいいに決まっている・・・・・あれれ、ちょっと待って。

ふつうの投資家は、すでに資本をもっている会社の株を旧株主から買いとるのであって、今から設立する会社に出資するとか増資に応じるわけでありません。投資家が出すのはあくまで現在の株価できまる値段です。

そうであれば、買値に対していくら稼いでくれるのか・・・つまりPERを見たほうが合理的です。「帳簿上の株主資本」を分母にする必要はないのよ。

ROEの使い所は別のところにあります。内部留保しての再投資です。


つまり、100万円企業が稼いだ・・・・ROE30%の企業であれば、その儲けをもとにさらに翌年30万円を稼げる・・・・というわけです。こうやって、儲けがねずみ算式に増えていくわけですね。内部留保は増資と同じです。株主資本が増えます。そして、ここが重要なのですが、「それが翌年、ROEの利回りで新たな儲けを生み出します」。

つまり、「翌年以降」「長期的に数値が維持されないと意味がない」指標です。単年であればPERをみればいい。また、「今年ROE50%だったけど、翌年以降8%」では、いざ翌年再投資して8%の利回りですから、美味しくありません。

また、「内部留保して再投資」がないと意味がない指標です。再投資されず配当にまわるなら、配当がROEの利回りで増えるわけではありません。会社は現行の株主資本のみで儲けを出し続けるわけですが、それならPERでいい。株主資本に変化がないなら、「株主資本に対する」利益率をみる必要はありません(みてもいいけど)。株主資本に大きな変化がある銘柄でこそ、役に立つんです。




 ROEの別の使い方として、「競合他社と比べる」というものもあります。「同じ事業をやっているのにある会社のみのROEが高ければ、優位性があることを示している」という理屈です。そのとおりですが、「同じ事業をやっていてROEを比べられる」という競合が見つかることは、結構、まれな気がします。元手をかけてお店を作って競争優位性の維持を図る方針の会社もあれば、提携や簿外の保証などBSに表れないもので稼ぐ会社もあります。比べて意味がある方が少ない、というのがあたしの印象です。優位性があるかどうかは、定性的に確認すればいいし、ROEと株主資本コストを比べてもいいでしょう。

ってことで、ROEって、「会社が儲けを内部留保して再投資したら」どれだけ効率的に儲けられるかみる指標って定義すべきだと思うんだ。つまり、翌年以降に内部留保して再投資する前提の数字だってこと。だから、成熟しきっているとか、資本投下が少なくてすむのであんまり再投資がない企業について、ROEを語っても意味がないと思うのよ。それらは、利益が出ている、成長性がある、といえば済むんであって、「資本効率がいい」って資本の側から表現する必要はない。だって、「資本額に変更があってそれに応じて利益が増えている」わけではないから。

ROEは単年ではなく継続的に見る必要がある。
内部留保して再投資する企業でなければ、見てもあまり意味がない。成長が停滞している銘柄とか、成長に資本がいらないので配当や自社株買いに回る銘柄とか。

ただの戯言です。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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