日本国債は暴落する?

新・国債の真実 単行本(ソフトカバー) – 2021/9/9
高橋洋一 (著) を読みました。

日本は財政破綻する・・・・!!

と恐怖しているひとのための、本です。

え、だって、1000兆円の借金があるんでしょ?そのうち、払えなくなるんじゃない?

日本には貸付金があって、そこからの利息収入があるから、大丈夫なんだってさ。


 日本国債については、侃々諤々の議論が交わされています・・・・高橋さんは、もと財務省の方で、日本国債は大丈夫、財政問題は「存在しない」という立場です。

 まず、BSからみると、

「政府と中央銀行のバランスシートを合体させたものを、「統合政府バランスシート」と呼ぶ。するとどうなったか。今度は資産が負債を上回ることが見て取れるだろう。ちなみに、日銀券は、前に説明したように、利子負担なし、償還(返済)負担なしだから、実質的には債務とはいえない。したがって税収を除いても、「統合政府バランスシート」の資産と負債は、ほぼイーブンになる。これが、日本の財政の実相である」
【同書99頁より引用】

 日本政府(+日銀)のBSは、

負債サイドは、国債1500兆円。
資産サイドは、資産1000兆円、国債500兆円、徴税権400兆円~。合計1900兆円。

ほら、債務超過じゃないでしょ・・・ということのようです。

 とつぜん、「徴税権」なるものが資産にのってきて、債務超過ではない理由に使われています。うーん・・・・。普通の会社が、「当社は今後、利益をだせるので、それをBSにのっけます」っていって、将来の収入をBSにのっける、そんなことはないでしょう・・・。
 「考え方」としてはアリだけれども、BSにのっけてしまうのは、普通の会計の扱いとは違うような・・・・・「BS上は債務超過だけれども、徴税権があるので信用は保たれている」っていうのなら、賛成ですが・・・。

 PL、つまり元本の返済や利払いの観点からはどうなんでしょうか。

「日銀は国債の利子収入を国庫納付金として政府に納めていると説明した。これが政府にとっては「税外収入」となる。さらに政府の資産は前項で見たように、金融資産が多くを占めているからその利子収入も政府に入る。じつはこの2つの利子収入で、国債の利払いはまかなえてしまうのだ。では償還費、つまり借金の元本の返済はどうか。その財源はどうするかというと、民間金融機関に新たに国債を買ってもらえばいい」
【同書115頁より引用】

利払い・・・日銀が持っている分は収入になるので相殺される。あとは資産の利子収入がある。
元本・・・・借り換えればOK

・・・・うーん、現状はそうかもしれないけど、今後、債務が大きくなって、国債を買う人が少なくなって、利回りがあがったら、利払いの負担があがりますよね。その時は、どうするんでしょうか。また、「日銀の国債の利子収入がある」って、つまり、大部分を日銀が引き受けることが前提ですよね。それって、財政ファイナンスとされて、円安にふれるんじゃないでしょうか・・・・。


全体を通して、「日本国債に需要がある」ことが前提になっていて、なんか、論点がずれている気がしました。その需要が減退して、利払いがふえた場合や、日銀が引き受けて円安にふれた場合の心配をしているのですが・・・。


最終章では、「この低金利の環境では、個人向け国債が最強の商品といえる」(同書168頁)と言っています。また、日本の財政破綻を心配するひとは、CDS(破綻したときにお金が入るデリバティブ)を買えばいい、と皮肉ってます。


あたしは、日本国債がデフォルトを起こすことはないと思っています。

高橋さんがおっしゃっているように、日本国債は金融機関にとってコメのようなものであり、いろいろな取引に担保などとしてなくてはならない存在だし。銀行や生保にとって、ほかに安全かつ有望な投資先があるわけでもありません。需要が減退して利回りがあがれば、銀行や生保がどこかの時点で買うでしょう。最悪でも、日銀が引き受けるでしょう。

ただし、そうなったら、待ち受けるのは増税と円安です。


日銀の引受を前提とすれば、元本も利払いもデフォルトしようがありません。論点とすべきは、「今後、政府債務が増大していった場合、増税と円安で損しないか」という点のみであり、そして、増税と円安で損をするのでしょう。

あーあ、外貨建資産、つくらなきゃ。でも、今年はドルも下落するんだろうな・・・・。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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コモディティと通貨本の書評

6件のコメント

  • オレンジ

    suria様、こんにちは。
    長期的には日本は円安にしかなりえないですよね。

    その場合、外貨という選択肢はあるのですが、それをfxなのか外貨預金なのか、ドルでetfを買うのかスイスフランなのか。

    まずは自分なりに為替のレンジを決めて円高になったら外貨にしなきゃいけませんね。

    suriaさんは外貨預金をされるんですか?長期なら低レバレッジでfxで円安に張るのも良さそうですが。

    • suriaちゃん

      こんにちはー、コメントありがとうございます!!

      手数料が安いことと、レバレッジかけられるという意味で、FX一択だと思っています。

      少なくともあたしは、プレミアグループだけで2.5億円の円建て資産となりますので、これをヘッジするとなると、レバレッジは必須です。ただ、株式投資と損益通算ができないのがイタイんですよね・・・・

      結局、FXやらずじまいで、円安に飲み込まれる予感・・・・・

  • Creed0122

    Suriaちゃん、明けまして、おめでとうございます。今年もブログ楽しみにしています。

    やはり、中長期的には円安という認識なんですね。直近のトレンドは円高方向に振れてるので、今年は米国株の仕込みどころなのでは!?と、勝手に思ってます。

    Suriaちゃんは、米国株で気になっている銘柄とかありますか!?
    私は、アマゾン、クアルコム、ロクが気になってます。テスラは、受注残のグラフが右肩下がりしてたので、スルーすることにしました。

    • suriaちゃん

      ありがとうございますー、今年もよろしくお願いします!!

      同じく、中盤以降は、米国株の買い場になるかと思っています!

      地上最強の企業、アマゾンも買いたいですが・・・・不景気になると赤字になるというのがどうも・・・・

      安定のアップルは、どこかで買うかもしれません!米国株は、正直、よくわかりません^^;

  • オレンジ

    suriaさん、返信ありがとうございました。

    そうですよね、一応財産も保全されるし外貨預金よりはfxですよね。

    先物取引とは損益通算できるけど、株の売買はできないですね。

    例えば、fxと外国etf。
    例えばvooとの比較だと、どうですかね?
    sp500の成長性込みだとfxより良い気もしますが

    • suriaちゃん

      通貨は増えないので、同じく、外貨建ての株を買いたいですね!損益通算もできますし。アップルとか、買いたいな、と思ってます。

      ただし、レバレッジに限界があるので、あたしのポートフォリオ全体の為替リスクを軽減する規模にはならないかな・・・その点が悩みどころです。

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