リバランスしよう!

思考の方法学
栗田 治 (著)

を読みました。都市工学の学者さんが、「モデル分析」について語る本です。

「なんとなく考える」ではなくて、いくつかの要素を選んでできれば数式化してモデルを作り、最適解を数学的に計算して出してしまう・・・・。

たとえば、「都市に、学校、図書館といった公共施設をいくつ作るべきか?」という問題。建設費と、利用するために住民が移動するコストの和を最小限にするには、いくつ作ればよいか?これをモデル化すると、施設数は、都市人口の3分の2乗と都市面積の3分の1乗に比例するそうです。

あとは、都市人口と面積を代入すれば、数学的に解けてしまいますね。もう、正解が一義的にでてきてしまうわけです。

投資に応用できそうなのは?

数理モデルつまり数式による表現の強さですね。

たとえば、定性的に、「この企業は、とても競争力が高い」と評価したとしましょう。でも、いくら定性評価しても、「じゃあ、いくらで買うの?」というところまでは、絶対にたどり着けません。絶対に、です。別のモデルが必要です。ここはDCF法が出てくれば、「得られる現金の現在価値の総和が3000円だから、それ以下の価格なら買い」といった結論を出すことができます。

定性評価はすべきですけども、数理モデルも併用しないと、実際の投資行動は起こせないですね。カンでなんとなく買うことになってしまいますし、応用もききません。


数式化して、最適解を計算で決める・・・・・いやー、理系はいいですねえ。


パレート最適、という考え方も紹介されていました。たとえば、企業評価を、ROEと成長性の2軸で評価するとしましょう。AからE案まで5つあった場合で、たとえばEは、Cと比べると、ROEと成長性いずれも劣る場合、E案は除去します。Cを採用すればいいので。こうやって、甲乙つけがたいものが残った場合、これをパレート最適集合、という。

当たり前といえば当たり前ですが、ポートフォリオも同じですよね。気がつくと、ROEでも価格でもすべての面において、ほかの持ち株に劣る株がポートフォリオに残っている、なんてことがあります。これ、是正すべきですよね。もっとも優れている株に統一すればよろしい。残るのは、「甲乙つけがたい集団」だけー。


この本を読んで、もういちど、投資を見直しました。

まず、買う株ですけれども、企業価値=(ROICー資本コスト)✕投下資本の累積、です。ですから、ROICが継続的に高く、投下資本が継続的に多い=成長性が高いものを買うべきです。正確に言うと、ROIC✕投下資本の掛け算の結果が高いものを選別すべきです。さらに言えば、ROICによる資本増加は複利で働くので、どちらかといえばROICの高さを重視すべきなんでしょうね。


次にポートフォリオ管理ですけれども、よって、ROIC✕投下資本の累積を現在価値に直した価格が高く、であるのに株価は安い・・・そういう銘柄を、そうでない割高銘柄より多く持つべきです。ですから、(ほかの条件が変わらないのに)安い株は買い増し、上値余地が小さくなった株は売るというリバランスをすることになります。


あたしのポートフォリオでいうと、プレミアグループ、これは上値余地2600円と弾きましたので、あと30%ほどしか上値余地はない。Keeper技研、これは上値余地7600円と弾いたので、現在の株価だと40%近い上値余地がある、よって、リバランスすべきである。

ロードスターは、資産価格は2000円強だと思うので、現在の株価は3000円、割高と言っていいかもしれないと思っているのですが、ポートフォリオに占める割合がもともと低いので、例外的にリバランスはやめておきます。

マークラインズは、ROE30%弱、成長性10%強程度で、適正価格4500円程度とみますが、Keeper技研よりすべての数字が劣るので、少なくとも今は買わなくていい。


うん、すっきり整理できた気がします。

なんとなく比較検討するのではなくて、できれば数字で比較すると、すっきりしていいですねえ。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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9件のコメント

  • みりん

    いつも記事楽しみにしてます!!
    件のとおり、リバランスを検討しているのですが、、suriaちゃんが出されてる理論株価ってどいうい計算で出されているのでしょうか?
    何処かでお見かけした気もするのですが、、
    お教えいただける内容でしたらご教授いただきたいです!
    suriaさんの出されてる理論株価がとてもしっくりきてまして

    • suriaちゃん

      ありがとうございますー!

      え、普通のDCF法でやってますよー。
      「DCF法 企業価値」とかで検索すれば出てくるかと。

      あ、例外的に、プレミアグループは金融業なのでエクイティキャッシュフロー法というのでやってます。あと、ロードスターは資産価格、、、つまり純資産にビルの含み益を足した金額を株式数で割った数値も参考にしますね。

      • みりん

        おおお!
        ありがとうございます!!
        以前にすりあちゃんがDCF法って書かれてた気がしました!!
        改めてお教えいただきありがとうございましたー!!

  • ネオピエロ

    suriaさん、こんにちは。
    この前お話されていた記事がこちらなんですね。

    リバランスは大事ですね。
    ただ、私達は株を売買して利益を上げることが目的です。

    例えば、資金が120万ぐらいあればプレミアグループは600株、keeperは300株、マークラインズは400株程度買えます。

    プレミアグループは6万×6で36万。
    keeperは30万×3で90万。
    マークラインズは25万×4で100万。

    上値の期待値だとkeeperとマークラインズですね。
    ただ、下値余地はkeeperが1番あるでしょうね。

    プレミアグループとマークラインズでは上値余地はマークラインズですが、将来業績の確度はプレミアグループです。
    ただ、プレミアグループは株価を上げるパワーが不足してます。
    その辺りはkeeperやロードスターが上ですが、好みはプレミアグループです。

    最近思うのですが、suriaさんは企業分析は好きですか?
    私は最近仕事が忙しく、分析が億劫です。

    2558や2559、2631等のetf買いの方が楽だし不祥事等の個別リスクもなくていいなぁと思います。
    それに、上記etfは深夜の流れを日本市場に反映するのでその日の株価は読みやすく、ある程度の全体的相場観があれば、それなりの運用成績を出せるのではと思います。

    企業分析に回してる時間も有効活用できるのはメリットです。

    suriaさんは分析面倒だし、etf投資一本でいこうと思うことはありませんか?

    • suriaちゃん

      ネオピエロさんはお忙しいですか。

      まあ、あたしは専業でヒマを持て余していることもあり笑、分析は楽しんでやってます。世の中の仕組みをより理解できる気がして、面白いんですよね。

      井村さんやバフェットみたく、毎日4、5時間決算書を読むほどの熱意はありませんけれど。

      不祥事リスクはそのとおりなので、ポートフォリオの一部はインデックスにしたいと常々思っておりますが、、、ついkeeperとか買っちゃうんですよね笑

      分析が億劫でしたら、インデックスやETF一本は全然アリだと思いますけど、現時点であたしはやらないかなー

      • ネオピエロ

        昨年プレミアグループがビッグモーター関連で連れ安し、1400円ぐらいまで下がった時は不安でしたね。
        なにが不安って、業績でなくネクステージやグッドスピードが不祥事で暴落してましたから、この位置でプレミアグループにも不正等の不祥事あれば致命的だなと思い、ナンピンして単価下げつつ早めに売却してポジション調整してましたね。

        勝手かもしれませんが、suriaさんにはまだまだインデックス超えにチャレンジして欲しいです。

        結局keeperの追加購入はプレミアグループの決算後になさるんですか?

        • suriaちゃん

          はい、その予定です!それまでにkeeperの株価が回復しちゃったらリバランス見合わせるかもですけど。

  • 初心者

    キーパー技研一瞬で元の値段まで戻してきました。
    少ししか買えてませんがどうすべきか?
    こんなにすぐ戻すのですね。PBR10倍なのに。
    下げてほしいです。

    • suriaちゃん

      うん、驚きですねー。4200くらいでグダグダするかと思ってましたが・・・何の材料もないのに明らかに回復基調。

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