ネットキャッシュプラス銘柄の妙味

清原達郎さんはネットキャッシュ比率の高いもの(・・・つまり、たとえば時価総額100億円なのに、正味現金が30億円あるような銘柄)を好むそうです。

井村さんも、IRTVの動画で「財務が健全とかネットキャッシュ比率高い銘柄というのが(今年の)ひとつの切り口かも」とおっしゃっていました。

ということで、あたしもネットキャッシュ比率の高い銘柄を探しているわけですが、うーん、これは素晴らしい指標ですね。

負債よりも現金(や同等物)が多い・・・・つまり、「儲かっている」ということが一撃でわかります。しかも、BS上の指標・・・つまりは今までの黒字の累積なので、「一過性で赤字」という銘柄も拾えるんですね。

さらにさらに、この世には、「借金して大きな建物や倉庫、工場を先に建てなければ業績を拡大できないビジネス」というのが結構たくさんあって、そういう企業はえてして、「PLは大黒字だけどCFマイナス」で、実はキャッシュ的にはカツカツで、増資リスクが結構あったりします。そういう企業は、固定資産が多くてネットキャッシュマイナスになるので、弾くことができます。

さらにさらに、「ROEやROAなど資本効率が実は高い」銘柄も拾えます・・・つまり、(無駄な?)ネットキャッシュがあるということは、ある意味では資本を有効活用しきれていないということで、余ったネットキャッシュで自社株買いすれば、あるいはさらにすすんで借金して自社株買いすれば、即座にROEがかなりあがるわけです。自社株買いしていないのでROEは低く出るのですが、潜在的には高ROEと言っていいと思います。


さて、ネットキャッシュプラス銘柄を選定する戦略の弱点です。

清原さんは、ネットキャッシュを「流動資産+有価証券の70%ー全負債」と定義されていますが、土地や賃貸不動産が入っていないので、これらが豊富な企業はスクリーニングから落ちてしまいます(ご著書でもその点を指摘されています)。

時価総額の5%相当額くらいの本社の土地をもっている企業はちらほらあるので、これは悩ましいところです。が、遊休不動産ならともかく、本社の土地であれば、土地を売って賃貸しなおすと、収益がさがります。賃貸不動産を売却しても同じです。この弱点は、PERつまり収益も同時にみれば、ある程度カバーできるんじゃないかと思っています。

弱点その2は、負債をがっつり活用してキャッシュ的にはマイナスが先行する銘柄が落ちることです・・・・まあ、これは仕方ないと思ってあきらめるしかないでしょう。キャッシュアウトが先行して数年後にキャッシュが入るビジネスは、利息分、高い利益を出さなければ正当化されないので、良いビジネスは少ない気がします。


弱点その3は、有効な資本活用がされていない銘柄ばかりがヒットするということです。ファイナンス理論的には、あまった現金があるなら、事業投資するか自社株買いするか配当しなければならず、利息0.1%で銀行に預けておくなど許されません。その禁じ手を平気でやっちゃっている企業なので、ガバナンスがいまいちという点があると思います。銘柄をみてみると、決算説明資料もないような、株主の方を向いていない企業も結構混じっている感じです。



いくつか弱点は指摘できるものの、ネットキャッシュプラス銘柄を探す最大の利点は、「隠れた」よい銘柄を探せることだと思います。「余ったネットキャッシュを自社株買いにまわせば」ただちにPERもROEも改善するので、ぱっとみ、PERも低くはないしROEもさえない銘柄なんですよ。

「いまかなり太っているけど、やせれば相当の美人」・・・という感じかな。

とりあえず今年は、これにこだわってみようと思います。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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6件のコメント

  • ゆう

    こんにちは。
    ネットキャッシュプラス銘柄ですが、楽天等のスクリーニングにネットキャッシュの項目はないと思われますが、suria様はわざわざで計算されてるのでしょうか?

    • suriaちゃん

      こんにちはー。簡易的にやるときは、低PERかつ低PBRで検索して代替してます。

      今年の1月は、四季報オンラインを契約して、流動資産−全負債+有価証券×70%できちんとスクリーニングしてました!

  • ネオピエロ

    suriaさん、こんにちは。
    6342太平製作所、6637寺崎電気産業、5363TYKはいかがでしょうか?
    個人的には5363がイチオシ。
    また、グリムスは私も決算確認しましたが、良くも悪くも安定してきましたね。
    ただ、ずーっと見てますが、昔に比べ株価が上がるイメージが沸かないんですよね。
    配当で株主還元する姿勢は好感ですが、それ以降株価の伸びがイマイチに思えます。
    レンジ内で売買するぐらいが丁度いい?keeperも半分ぐらいは5000ぐらいで売り、4000ぐらいで買ってます。
    グリムス、将来的な業績見通しと今の適正株価はどうお考えですか?

    • suriaちゃん

      こんにちはー。

      太平は、受注残が減っていますが昨年の特需のせいで受注の調子がいいのか悪いのかよく分かりませんでした、、社長も交代したばかりで、様子見したい感じです。

      TYKは決算説明資料がないのがちょっと、、、。

      寺崎はいいですね。清原さんがどこかで売りに回りそうなのがウザいですが、あたしも買おうかなー。

      グリムスは、電気供給先がある以上、一定程度はそれらの電気供給先に向けた事業用太陽光が伸びていくと思います。PERはそろそろ下限と思うので、今後はepsの伸びに連動するんしゃないかしら。ただ、太陽光の方は所詮フロービジネスなので、PER8〜14くらいが適正ではないかと。

  • ながせ

    こんにちは。
    3300アンビジョンと7115アルファパーチェスはどうでしょうか?
    大化けなら3300、現実なら7115でしょうか?

    • suriaちゃん

      こんにちはー。アンビションはとっても良いと思うのですが、不動産系ばっかりのポートフォリオになってしまう、という理由で保留にしてます。ぜんぜん買っていいラインと思ってます。

      アルファパーチェスは、業績的にはアリなんですが、大株主がアスクルということでパスしました、、、やっぱり、オーナー企業が安心できます、、。

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