ゴムタイヤさんから、「きずなＨＤどうでしょう」というコメントいただきました。パッとみたところ、ゲンキーなどと同じく、「出店拡大→売上増」のコンボが手堅い、優良企業。ただちに買おうかと思いましたが、アドレナリンを抑え、きちんと見ていきたいと思います。

　きずなＨＤ（７０８６）は、葬儀ホール（賃貸）でお葬式をやる会社です。

　８２万円の葬儀を行い、お料理や返礼品、労務費などで５２万円使い、３０万円の粗利。そこから販管費を２３．６万円払って、６．４万円をもらうご商売です。前期は９０００件、葬儀をしています。建物は貸借でして、１店６０００万円ほど、設備投資する模様。

　葬儀屋さんって、もうかっているのでしょうか？最新の通期決算をみると・・・・

・・・売上の伸びがイマイチ、増益幅は大きいですが、前期が減益だっただけかな・・・理由をみていきましょう。

　決算説明資料によれば、前期は３億円の上場準備費用の計上があったということです。つまり、その一過性の費用がなくなった影響を除くと・・・・・２０２１年５月期は、実質、減益ですね。利益率も落ちている。

　なぜ売上、利益も伸びなかったか？これは、コロナで葬儀単価が減ったからですね。コロナ前は１００万円近くかかっていたのに、コロナ後は８２万円に単価が下落。そりゃ、コロナ中に、大々的に葬儀はやれませんよね・・・・。

　まず、葬儀費用単価は戻るのでしょうか？最新の１Ｑ決算の資料では・・・

　「まだ」単価は戻っていません。さらに言えば、コロナ前である前期２Ｑ、３Ｑから単価の下落は始まっていますね・・・・コロナのせいで、下落トレンドが加速しただけかもしれません。

　この会社は、前期末で９９店あり、今期１０店、来期１５店出店予定です。賃貸ですので、１０店で９億円の支出ですが、営業ＣＦが１０億円を超えていますので、増資なくして新規出店継続は可能でしょう。この会社は中計を出していまして・・・・・

　葬儀単価は４％程度、上昇する前提。営業利益も４．４ポイントも回復する前提です。増収すれば、間接経費が減り、現に、最新１Ｑでは営業利益率１０％となっています。前期も一過性の費用を除けば営業利益率は１０％。その前は１１．３％、その前は１０％。

　もし、営業利益率が１０％まま推移するなら、そんなにスゴイ成長性ではなくなります・・・インデックスにはちょっとだけ勝てそうですが・・・。

　ということで、

①単価はコロナ前に戻るのか？それはいつか？
②増収に応じて営業利益が３－４％上乗せされるか？

を予測することになりましょう。競合の平安レイ、燦ＨＤはＰＥＲ１０程度に対し、きずなはＰＥＲ１５ですが、２０２３年５月期に営業利益率が１３％になれば当期利益＋４５％ですから、中計が成就すれば、ＰＥＲ１５でも十分ペイしそう。

　ただ、新規出店による売上の増加はともかく、利益率の向上可能性は、ちょっと外部からは予測しがたい・・・かな・・・。過去をみても、出店数に応じて営業利益率が上がっている関係はない・・・・・けれど、有報をみると、きずなの販管費は、３分の１が人件費で３分の１が広告費。後者については、ドミナント展開であれば売り上げに応じて増えはしないでしょうし、前者についても近場のお店と兼任による削減が可能です。ですから、論理的には営業利益率は上がりそうではあります。競合他社は営業利益率１０％代後半ですし。

　以上より、「営業利益率も改善する可能性が高い」とは思います。が、「９０％がた、そうだろう」とまでは思わないかなあ・・・・・結局、企業がどこまで経費節約できるかなんて、確信できるほどには分からないもの・・・・。

　ただし、優良企業とは思うので、営業利益率を中心に監視したいと思います！

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い１日をお過ごしくださいね。