含み益6000万円が教える決算書の読み方のキソ③【BS】
前回は,決算書の本文をみました。
引き続き,第一興商を例にとり,貸借対照表(BS。バランスシート)をみていきます。
まずは,流動資産。
売掛金(取引先から払ってもらえる予定の代金)や預金など,すぐにお金にしやすいものたち。
①数字が大きいものや,②変化が大きいものに着目しましょう。
①現金と預金が480億円。
取引先から払ってもらえる予定の代金が47億円。
棚卸資産つまり在庫商品が77億円・・・・・・あれ,②前期比で1.5倍・・・・・・・・
商品が売れないと,在庫が多くなります。
売れない商品がひたすら溜まっていくのは,最悪かつよくあるパターン。
でも,「たまたま今年だけ」在庫が急増した可能性があるので,2018年の決算書をみてみましょう。
だいたい62億円だった在庫が,昨年54億円になり,今年77億円という流れだったんですね。
昨年の在庫水準がもともと低いし,飲食店の店舗数も増えてますから,「たまたま」増えただけという可能性は排除できませんが,来期の決算書は要注意ですね。
商品が売れないので在庫が滞留し始めている兆候かも。
モノを仕入れて売る商売は,売れなくなれば在庫が増えますから,常にチェックするクセをつけましょう。
(成長企業は在庫が売上増に応じて増えるので,気にしなくてもOKです。)
次,有形固定資産。
土地,建物や機械など。
大きな数字をみましょう。
①お店と土地が合計600億円で,有形固定資産の8割ですね。
②おおきな「変化」はないので,とくに読み取れる情報はなさそうです。ただ、レンタル用のカラオケ機器が7%増、か。
つぎ,無形固定資産。
株とか貸付金,敷金など。
①おおきな数字・・・・敷金が152億円ですね。
でも,これは返ってくるお金だから,別にいいも悪いもない。
②大きな変化もないので,問題ないですね。
これで,資産つまり財産をみました。
合計が1800億円。
現預金売掛金が500億円,土地とお店が600億円,敷金150億円,あとはカラオケ機器など(在庫及びレンタル用)。
「なにかが多すぎる」というような印象はないですね。
いままで,財産をみていきましたが,次は借金や支払い予定の代金をみていきましょう。
おおきな数字や変化に着目しましょう。
①長期と短期の借入金が合計140億円。
②あ,社債が65億円,消えてなくなっています。
これに対応して別の借金が増えているわけでもない。
業績が順調で,借金をまるっと返せた,のかな?
一応,3期前の決算書をチェックしてみましょう。
同じことが起きています。
1年で借りてすぐ返す,というのを繰り返しているのかな。
まあ,1800億円資産があるヒトの65億円ですし,別にプラス材料でもマイナス材料でもなさそうですね,ほおっておきます。
この後は「純資産」の分析がありますが,「キソ」ではないので割愛します。
まとめ:
全体が1800億円,うち現預金が500億円,土地とお店が600億円,敷金150億円。借金が140億円。
1800万円の資産がある男性で,内訳は預金500万円,住宅が600万円(安い笑),敷金180万円,こまい家具などその他もろもろをお持ちだが,借金が140万円の男性を想像しましょう。
借金も少ないし,現預金たっぷりある。土地が変に値下がったりしない限り,なかなか優秀ではないでしょうか。厳密には同業者と比べないと分かりませんが、第一興商は飲食店と機器販売が混ざっているのが辛いところです。適切な比較対象を見つけづらい。
なお,在庫が1.5倍になっているというのは今後も要チェックです。
男性が趣味で集めているフィギュアが,一年で1.5倍になっていたら・・・・・危ないですよね?
古いカラオケ機器なんて,売れるわけがありません。
分析方法のまとめ:
①大きな数字に着目!全体の資産がいくら,現預金がいくら借金がいくらという概要を把握し,安全性を判断します。いうまでもなく,現預金が多ければ安全,借金が多ければ危険。できれば同業者と比べよう。
②大きな変化に着目!変化の理由を確認し,短期的なものか長期的なものか、プラス材料かマイナス材料か、判断します。短期のマイナス材料なら長期的には買い。長期のマイナス材料ならホールドは危険です。
次回は,損益計算書,つまりいくら売れていくら儲かっているか,という表をみていきましょう。
その後,キャッシュフロー計算書,つまりそれらを現金の動きという観点からみたものをチェックして,終わりです。
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