投資手法と成績

「現在の」手法は以下のとおりですが、コロコロ変わります。



「我々の役割は機関投資家が見向きもしない隠れた割安小型成長株を見つけ出し、大量に投資すること」
ー清原達郎氏「わが投資術」 184頁

1 買う企業の特徴

高ROE×成長タイプ)
高ROICを裏付ける競争優位性+成長余地があるもの。「未開拓地域の存在+新店出店」が頻出で、成長に伴って利益率が落ちないか上がっているもの。優位性は「他社より相対的に優位」ではなく、「競争から離れているポジショニング」、ライバル不在、です。DCF法による価格の60-70%で買います。

低PER×成長タイプ)
ネットキャッシュがプラスなのにPE10程度+成長余地があるもの。利益率の向上により高ROE×成長タイプに変貌します。優位性や成長性も上記同様判断しますが、値段についてはまずPERで判断します。成長が鈍化しても損しない値段で買う趣旨です。清原さん参照。安いので、優位性、成長性やROEは緩めに許容。

株価<資産価値タイプ)
含み益など実質的な資産価格を出すと株価を超えるもの。単純に資産価値のみで買うとまずいので、成長性や優位性も当然に検討します。数は少ないように思います。

2 買わない企業の特徴

・利益率が低下傾向:成長に連れて減益になるってことはジリ貧確定です。
・予測可能性が低い:ヒット商品の有無や為替で業績がブレる、技術革新が早いもの。
・理解不能・セグメント多すぎ:優良ビジネスであっても決算説明資料から情報がとれないのでパス。
・優位性が分からない:優位性を言語化できないなんて論外。
・高度な労働集約:スケールしにくいので。典型がコンサル。
・PL抜群だけど営業CF<<投資CF:増資しないと成長継続できない・割引率の関係上企業価値が低くなる
・急成長すぎる会社:成長鈍化予測が難しいし価格算定できないことが多い。
・高PER:高成長を既に織り込んでいる。

3 投資を実行する手順

バイアスとノイズの排除のため、投資手順を決めて従います。

1 絶対的検討)「今後数年間20%程度、長期的に5%の利益成長ができるか」、新店の増設計画、中計、社長インタビューから類推します。「事業等のリスク」を読んで悲観シナリオも想定します。

2 相対的検討)「Keeperやプレミアグループよりも上値余地があるか」比べます。具体的な対象と比較することでバイアスを解除します。

3 時間をおく)いったん寝かせます。そのうえで判断が変わらなければ買います。基本スタンスが「見送り」で、特別な洞察があるときのみ、賭けます。バイアスや気分による判断のばらつきを排除するため、分散して買います。価格の判断が微妙な場合は多少買っておき、月次、一過性業績悪化、マクロイベントなどで安くなった時にすかさず買い増します。

4 売る)成長鈍化や優位性崩壊、過ちに気づくか、何よりもさらに魅力的な株を発見した場合は、ポジションの縮小を行います。値上がった場合には持ち株内でリバランスも行います。

4 ポートフォリオのルール

1 確証バイアスが激しくなってしまうので、1-2銘柄集中ではなく5-6銘柄くらいには分散します。その中で、比較的高値のものを売り、安値のものを買うという形で銘柄間でリバランスしたいです。
2 危ないと判断したら直ちにポジションを減らします。朝令暮改を推奨します。

きちんと記録している令和以降の投資成績は、以下のとおり。

  

SuriaBK (配当込税引後) S&P500(配当込ドル建)
R1 +32.4%
(1億8141万円)
+31.5%
R2 +30.7%
( 2億4758万円 )
※2月に元本800万円追加
+18.4%
R3+27.7%
(3億1607万円)
+28.7%
R4+6.2%
(3億3358万円)
-18.1%
R5+9.9%
(3億6856万円)
+26.3%
R6???
※1月に2000万円減資
CAGR+20.8%+15.6%



※DCF法の細かいルール
①永久成長率:現在の成長率が20%以上の場合は3-5%を使いレンジで出します。利益の20%をROE20-30%で再投資すれば4-6%成長が達成できるからです。「永久」といいつつ、実際に見積もるのは今後20年間くらいの成長率であり、20%成長がいきなり0-1%になるほうがおかしいです。なお、永久成長率0%を採用しないので継続価値算定のFCFにおける投資額の減額調整はしません。
②割引率:小型株はβ=1.3、株主資本コスト9-10%くらい(リスクフリーレート1%+1.3×6)なので資本コストは8%と決め打ちします。これは、「ROEが8%を超えると株価と連動する」という話やインデックス投資の利回りが7-9%という話とも整合します。