2000億円の運用法
ゴールドマン・サックスで2000億円を運用していた機関投資家が教える「プロの投資」 2021/11/29
アミン・アズムデ (著), 斎藤 岳 (著)
を買って読みました。
「勝率9割」とありますが、「在職中にパフォーマンスがマイナスだったことがほとんどない」という意味のようです。過去の成績がS&P500を継続的に上回っているかどうかは定かではありません・・・・。
ただ、内容はとても良いことを言っていたので、勉強になった部分を3つ、メモしておきたいと思います。
①バリュエーションの考え方
「まずは、類似商品が取引されている利回りー株であれば類似企業のPERです。そして、市場金利の動向です。「リスクフリーレート」と呼ばれたりもしますが、難しければ国債の金利と考えてください」(同書135頁より引用させていただきます)。
この本は、「金利があがれば、リスクフリーレートや割引率があがり、株価やPERが下がる」ということが何回か書いてあります。これらを正面から明言する本は、意外にないんですよね。「機関投資家もやはり同業他社とPERを比べている」ということも確認できます。
②自己否定を躊躇しない!!
「たとえ昨日は有望だと思ったとしても、状況が変われば即座にそれを否定しなければなりません。投資で勝つためには、昨日の自分を否定する勇気を持つことが必要なのです」(同書38頁より引用)。
いやー、ほんと、そうですよね。状況が変わったら、ポジションも変えなければなりませんし、状況が変わらずとも自分が間違っていると思ったら、やはりポジション縮小が必要です。生き抜くためには、健全な自己否定が必要です。勉強になります。
自分のお金を運用する個人投資家よりも、顔の見えない他人のお金を運用する機関投資家の方が、冷静に損切りとかしているイメージです。
③下値リスクを計算する
「下がったとしても、せいぜいこれくらいだろう」という目安をつけて、投資ないし買い増しをすること。あたしたちって、買うとき、「絶対あがるよ、これー!!」としか考えませんが(笑)、「仮に下がるとしたら、どの辺が底だろう」という冷静な見立ても必要ですよね。
ほかにも、底値なんて分からないからそれを狙わず余力をもっておこうとか、客数と単価、固定費と変動費に分けて業績を予測するとか、機関投資家ならではの冷静な見立ては、とても勉強になりました。
また、投資期間は1-2年くらいであること、利確ラインも決めていること、小型株に手を出せないことなど、お決まりの機関投資家の制約についても触れられており、彼らの行動パターンを復習するという意味でも有益でした。
中級者向けの本と言ってよいと思いますが、世の中、毒にも薬にもならない「初心者用の株入門本」ばかりのなか、貴重な良書です。買ってよかったと思います。
今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。