弁護士であったこと,そして投資家としての優位性
【弁護士業務って,実は結構ハードだった】
バフェットは,「わたしは良い経営者であるがゆえに,良い投資家である。逆も然り」って言ってた。
わたしは,元,弁護士。
10年くらい,やってた。
どこかの掲示板で言ってたけど,弁護士業って,「熱い鉄板のうえで,踊り続けるような」日々。
ストレスがたまったお客さん。
人生の一大事に面している。
仕事の結果は,結局は,「裁判官」という,基本的には一人の中年男性の価値判断しだい。
全力尽くしてやっても,勝敗につながったのかどうか,よくわからない。
ほとんどの案件は,「あなたは判決になったら負けそうだから,和解しとけ」と裁判官から脅されて,ぼちぼちのところで和解して終わる。
これが,日本の(民事)裁判の現状。
もちろん,養育費の相場とか,不貞行為の成否とか,押印されている契約書の偽造判断の手順とか,相場や公式的なものはあるよ。
似たような事例の裁判例もある。
時効が明らかに成立してれば,それは判決の予測は可能。
でも,そういった「100%どうこう」という案件以外,最後には,
「これだけはっきり押印していて,読んでなかったは通らないよね」なのか
「これだけ細かい契約書で,ほかの書類もある中で,押印する動機はないからこの契約書は無効」なのか,
最終的には,単に「裁判官次第」。
当たり前だけど。
で,問題点は,和解で大半が終わるから自分の訴訟行為に対するフィードバックがあんまりないこと,何より予測が不可能だってこと。
「裁判官が,どの要素をどれだけ重視するか」,なんて,事前に分かるはずもない。
しかも,裁判官って,意外と,「破産ばっかりやっていたので民事はほとんどやったことありません!」なんていう,ペーペーが結構多い。
意外に専門化されているので,それ以外の分野となると,素人丸出しの判決をしだす。
とにかく予測不能
結局,あたしが晴れて報酬金を依頼者からもらえるかどうかは,「裁判官次第,ランダム」ってこと。
これって,自分の労働力の投資としてみると,すごくやりたくない投資じゃない?
「期待値:不明」
村上世彰さんだったら,絶対に投資しないよ(笑)
っていうか,投資というより,ただのギャンブル。いや,期待値が分からないので,ギャンブル以下か
株だったら,過去の成績も他人の成績もみれば分かる。
ランダム性が気に入らないならインデックス買えばいい。
投資しないで一部を現金でもっておく,ということもできる。
つまり,回避方法がある。
弁護士業務には,それがない(企業法務を除くけど)。
せいぜい,負ける確率が高いと思われる案件は,受任しない,ってくらい。
【弁護士経験があって投資で得すること】
・・・・・愚痴はおいておいて。
とはいえ,法律家をやっていて,得したことはある。
企業の損害賠償をすると,必ず決算書が出てくるし,自分でも確定申告する。
あたしは弁護士法人化したから,法人の確定申告も自分でやった。
だから,決算書が読めるようになること。
売掛金の回収や不良債権というのも,身をもって体験できること。
税法も結局法律だから,税制についても,どの程度までOKでどの程度からアウトになるか,調べる手段と能力があること。
取締役の責任,監査役の責任,少数株主の権利,このあたりも身をもって分かる。
破産する企業の財務諸表も,破産したときの精算処理も,自分で何回もやってる(笑)
このあたりは,かなりアドバンテージじゃないかなあ。
「精算価値なんて,何もない」って,実感でわかるから。
倒産企業の残った什器備品を売るの,あたしだもん(笑)
ほとんどゴミみたいな値段だよー。
帳簿価格なんて,いざというときには何の意味もない。
税務や会計関係の資格保持者は,数字は読めるだろうけど。
売掛金の回収のために預金差押えしてからぶった経験はないでしょう。えっへん。
元弁護士って,投資の世界では,けっこう有利なんじゃないかな
↑ 押していただけると泣いて喜びます