富士そばがすごすぎる

「富士そば」は、なぜアルバイトにもボーナスを出すのか (集英社新書)

ボツメニューを表彰、5回辞めた社員でもまた採用…… この会社、変だ。 でも…だからこそ儲かる! 日本全体が短期的な利益追求に走り、ブラック企業がはびこる中で、首都圏を中心に一三〇店舗以上を展開する立ち食いそばチェーン「富士そば」は真逆を行く。アルバイトにもボーナスや有給休暇を支給し、社員には年間一〇〇〇万円を超える報奨金や、さらには海外旅行までもが用意されているのだ。 …


富士そばかあ・・・・あんまり、いいイメージないですね。人生で一回入ったこと、ある・・・かな?1回だけ、あったような、違うお蕎麦屋さんだったような。ただ、本を読む限り、かなりエキセントリックな会社でした。

メモ1。従業員が財産、とにかく大事にする。アルバイトでもボーナスがでて、有給もあり、週休二日ちゃんと休め、目標達成しての報奨金もある。新メニューの提案をしたら、たとえそれがそばのうえにトマト丸ごとのっけたものであっても、基本採用。細かいマニュアルはなく、店舗ごとにメニューが違うことも。アルバイトを評価して細かいランク分けをしたりはしない(ただし、会長が現場を抜き打ちでよく訪問する)。経営者の仕事は、「どうしたら従業員の意欲が出て、働きやすくなるかを考えること」(同書188頁)。うーん、ホワイトすぎます・・・・

メモ2。保守的な立地選定。一定の乗降数がある駅チカでサラリーマンが多く、視認性がいい1階を狙いますが、競合のそばやが近くにあったら、どんなしょぼいそば屋でも出店はあきらめる。薄利多売だから。慎重に出店し、迅速に撤退する。「そばやというより、もはや不動産業」(139頁)。

メモ3。損益的なところ。24時間営業なので、その分、家賃を効率的に使える。広告宣伝費ゼロ。会長室もない。ただし、ツユにはこだわって大量の鰹節をいれ、高価なスープサーバーを導入している。お店の床は本物の大理石。そばはすぐに誰にでもできて回転率も高い。


従業員の扱いは、「権限委譲型」ですね。ドン・キホーテみたいに、現場にすさまじい裁量を与え、独立性を付与して、それによってやる気を引き出す。質にムラとムダが生まれますが、そもそもが立ち食いそばですから、許容の範囲内でしょう、従業員が働きやすいメリットの方が大きいようです。

営業面では、立地選定をかなり慎重にやっている印象を受けましたが、それ以上でもそれ以下でもないかな。回転が早いので、サラリーマンが一定数いて、競合が少なければやっていける商売なんでしょう。この点は特殊かな。

会長さんが現場をまわって、つゆの味やクリンネスを確認するようですが、たとえばそば粉や打ち方にこだわっているというような話はこの本には書かれていませんでした。

経営者の仕事は、「どうしたら従業員の意欲が出て、働きやすくなるかを考えること」「そばやというより、もはや不動産業」・・・・うーん、至言ですね。「従業員の個人的ながんばり」ではなく、仕組みで回していく。売上なんて、立地でほとんど決まるんですから、「どうして売上が芳しくないんだ!!」と店長を詰めたって、意味がありません・・・そういう企業、多そうですけど。

そういえば、サイゼリヤも店長には売り上げ目標は課されていないはずです。合理的ですね。


今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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