大事なのはキャッシュフロー計算書!
Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings
ジェフ・ベゾス (その他), ウォルター・アイザックソン (その他), 関 美和 (翻訳)
を買いました。ジェフ・ベゾスの「株主への手紙」20年分と、講演録などです。
ジェフ・ベゾスと言えば、バフェットも賞賛した天才経営者であり、世界一の企業アマゾンの社長です。いったい、何を考えて経営しているのでしょうか。
「顧客満足に集中する」とか「毎日が始まりの日」とか、正直、投資に直接は役立たない記述が大半と思いましたが、株主への手紙という性質上、財務にも触れられています。一番のポイントは、何か?
「私たちにとっての究極の財務指標、つまり長期成長の最大の原動力だと考える指標は、一株当たりフリーキャッシュフローです」
(同書107頁より引用)
つまり、売上、あるいは営業利益など「利益」では、キャッシュの動きは表せません。莫大な初期投資があっても「減価償却」という仕組みで、費用となって「利益」にマイナスの影響を与え終わるのは数年先。売上も、会計上、あがってはいても、半年後に回収できる売上かもしれません。したがって、「会計上の利益はあがっているけど、キャッシュがない」という事態がありえるわけです。
「会計上の利益さえ上がっていれば、いいじゃないか!」と思いますか?
でも、そういった事業は、成長のための先行投資が捻出できません。キャッシュがないからね。成長が鈍化するか、ある日、「増資」して手元資金を補うことになります。こうして、「一株当たり」キャッシュフローはさらに落ち込むことになります。100億円つかって発電所たてて、100億円と利益20億円を回収するころには、次の発電所建設のために120億円をまた投資しなければならない・・・・つまり、「儲かっても使える現金はない」、そんな会社の株に、価値はあるでしょうか。
マズいビジネスは、このように、キャッシュの回収が遅いビジネスです。最初に大きな投資が必要で、その回収が遅いもの。たとえば、発電所や特殊な建物、店舗の建設、回転の遅い在庫が必要なもの。建設から回収に5-10年はかかる。マンションや住宅販売も、「土地を取得して、整地して、家を建てて、売れてようやくお金が入ってくる」・・・ということで、最初に出した土地代が回収できるまで、2年くらいかかりますね。指数関数的に成長するには、指数関数的に建物建設や在庫仕入の資金が必要になり、そこで増資か成長ストップしがちです。
逆に、良いビジネスは、先にキャッシュが入ってくるもの。たとえば、保険ビジネス。保険料を先に預り、事故が起きて初めてお金がでていく。常に現金が入ってくるのが先。アマゾンも、仕入れ先にお金を払うより、消費者からお金をもらうのが先です。しかも、実店舗がいらないので、先行投資としては物流倉庫があればいい。先に預かったキャッシュで倉庫を作る。そうすると、仕入れ代金の支払より先に売上が入金し、さらに倉庫を作ることが可能になる。好循環が生まれます。
CFがよい会社、つまりは、重い設備投資が不要で、在庫の回転が早い、そんな会社に投資したいものです。
今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。