たまにはROAでも眺めましょう

『コーポレートファイナンス 戦略と実践』
保田 隆明 (著), 田中 慎一 (著)

コーポレートファイナンス・・??

「会社の」・「資金調達」。キミが会社の財務部長だったとしよう・・・・そして、会社にお金がなかったとしよう・・・どこからお金をまかなう?

親から借りる。

・・・普通は、銀行から借りますね。他にはない?

・・・1万円札をカラーコピーする。

犯罪ですね。ただし、上場企業なら、お札ではなく「新株を発行する」という、借り入れ以外の資金調達手段があるの。出資を募るってことね。ってことで、企業は、①借入をするか、②新株を発行するか、悩むことになります。

借りたら返さなければならない・・・じゃあ、新株の方がいいにゃ!よし、親に出資してもらうにゃ!!

親との繋がり強いな・・・・でも、新株だと、株主に儲けの20-30%を配当しなければならないし、場合によっては株主総会で取締役を解任されることもあるかもしれません。そういう意味ではコストが高いのよ。

じゃあ、借金して、全力レバレッジにゃ!!

そうすると、倒産の可能性が高まり、格付けが下がり、利息も高くなり・・・というふうにもなるので。借入と、出資のバランスが大切なわけ。

で、それが投資にどう役に立つの?

会社の資本構成によってWACCが決まり、これが割引率になるので、企業価値算定のためにデットエクイティバランスの最適化が★×☆彡△になり・・・

もはや言っている意味が分かりません・・・とりあえず、この本で、重要なポイントを簡潔に教えたまえ。

・・・・個人的に参考になったのは、「なぜROAがキャラクター分析の王様かといえば、収益性と生産性という2大キャラクター指標に分解することができるからです」(同書56頁)というところかな。

ROEはよく聞くけど、ROAって、あんまり聞かないね。

ROAは、純利益を総資産で割った指標です。標準的には5%くらいかな。
ROAは「①利益率×②総資産回転率」に分解することができる。①なぜ利益率がいいのか、②なぜ在庫の回転や売掛の回収が早いのか、この2点を詰めていけば、有意義な企業分析ができるってわけ。

ROEじゃ、ダメなの?

ROEは、借金が多いと数値が高くでちゃう。「競争力はないのに、めっちゃ借金しているから利益が多いだけ」の企業が、ROEが高くなり、優良企業であると勘違いして投資してしまいがち。その点、ROAは、利益率や資本回転率、つまり、企業の本当の競争力が高くなければ、高い数値にはならない。

じゃあ、ROA最強じゃん!!

ただし、レバレッジで業績を加速させることが悪いわけではない。冒頭の議論に戻るけど、「借金もしっかり活用する」のが正しいコーポレートファイナンスなのよ。ROEが妙に高くなりすぎるけど。

で、投資家はどうすればいいんですか。ROEなのか、ROAなのか。

一つの方法は、バフェットのように、「借金が少ないのに」ROEが高い企業を探すことね。これなら、借金によるカサマシの影響を回避できる。もうひとつは、「ROAもROEも高い企業」を選ぶことな。利益率も資本回転率も高く、借金も有効活用している・・・・本当の優良企業がみつかる、ハズ。

 ROAをクローズアップする書籍って、なかなかないから、貴重だと思いました。

 レバレッジ「のみ」で高いROEをたたき出していないか・・・・ROAが高いとしたら、なぜ高いのか・・・利益率がいいのか、資本の回転が早いのか・・・・利益率がいいとしたら、仕入れが安いのか、付加価値が高く高値で売れているのか、人件費が安いのか、広告宣伝費が安いのか・・・・・そして、それらの要因は継続するのか?どんどん、深堀りできそうです。

今日も、ステキな銘柄に囲まれた良い1日をお過ごしくださいね。

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