投資手法と成績
「現在の」投資手法は以下のとおりですが、1日単位で改良中です。
「所有すべき最も良い企業は、長期間にわたり大量の資本を利用し、非常に高い利益率で増やしていくことのできる企業です」
「投資家にとって必要なのは、訪れたチャンスにイエスではなくノーといえること」
ーウォーレン・E・バフェット
「株価は短期的には投票機だが、長期的には重量計だ」
―ベンジャミン・グレアム
投資の手順
バイアスとノイズの排除のため、投資手順を決めて従います。
1 絶対的検討)「今後数年間20%程度、長期的に5%の利益成長ができるか」、新店の増設計画、中計、社長インタビューから類推します。「事業等のリスク」を読んで悲観シナリオも想定します。
2 相対的検討)「Keeperやプレミアグループよりも上値余地(=ROIC✕投資額)があるか。また成長性の確度と優位性の確度が高いか」の3点を比べます。具体的な対象と比較することでバイアスを解除します。
3 時間をおく)いったん寝かせます。そのうえで判断が変わらなければ買います。ただし、「なかなか良い株」というレベルの心証では買わず、微妙なものはパスします。基本スタンスが「見送り」で、特別な洞察があるときのみ、賭けます。この世で5番目にすばらしいと思う銘柄をポートフォリオに入れる必要はありません。バイアスや気分による判断のばらつきを排除するため、分散して買います。
4 売る)成長鈍化や優位性崩壊、過ちに気づくか、何よりもさらに魅力的な株を発見した場合は、ポジションの縮小と売却を行います。値上がった場合には持ち株内でリバランスも行います。
投資の戦略
企業価値は「投下資本額✕ROICの継続期間の乗数倍」です。よって、①高ROICを裏付ける競争優位性の特定とその継続性の評価、そして②成長余地≒未開拓地域の存在を確認することが主な作業です。別の言葉で言うと、永久成長率5%が確実に見込める企業を買うとも言えます。
定量的には、ROE30%以上が継続し、現時点では20%程度の利益成長をし、利益率が維持されている企業を狙います。プレミア、KeeperがいずれもROE30%超えなので、それ以下の数値の企業は買う必要がありません。
1 成長余地の検討
まずは成長ストーリーの確度を検討します。今後、売上がコンスタントに増加するか判断するわけですが、「未開拓地域の存在+新店出店」が一番鑑別しやすいです。店舗ビジネスでなければ中計や社長発言の具体性から判断します。
2 高利益率の継続性検討
(1)次に、成長に伴って利益率が落ちないか、過去の利益率や社員一人当たり利益の推移をみます。利益率が成長に伴って上がっていれば、規模の利益を享受しているので最上です。定性的には商品やサービス、顧客、オペが画一的で標準化されているかどうか(共通コストが多くなり利益率が上がりやすい)、確認します。規模がデメリットではなくメリットになる企業・・・製造業や金融業、知財、標準化できるサービス業など、規模の利益がきくビジネスを選びます。
(2)優位性も検討します。「他社より相対的に優位」ではなく、「競争から離れているポジショニング」です。大なり小なり競合がいれば、価格競争に陥ります。①優位性が強い・・・類似商品のなかで「圧倒的に」品質や値段がすぐれている。②①の原因が、他社がマネできない、これを明確に言語化します。②は、特許技術などで明確にできない場合より、「ノウハウの積み上げの先行+規模の利益」によりマネが事実上不可能、という場合が多いです。①は、高リピート率、新店が既存店並に売上を上げている、二流立地でも客がくる、広告宣伝費が少ないことなど、「客がきている」ことから判断します。
3 価格の検討
DCF法による価格の60-70%で買います(10-20%程度は当然にぶれます)。高PERでもOKです。また、現在の株価から逆算して、何%の成長を織り込んでいるかも確認しておきます。ただ、株価算定はあくまでざっくり、レベル感を確かめるだけです。「多分割安」でも優良企業なら、そのうちペイするでしょう。なお、定型的な狙い目は、永久成長率とは関係ないのに下がる下記の場合です。
「四半期で売上にばらつきがある企業で、悪く見える四半期決算や月次のとき」
「前期が好調すぎて今期の成長がないように見える年度」
「米国株式の下落などマクロ要因で大きく下がっているとき」
4 その他の要素の検討
しません。考慮要素は「増やせば判断精度がさがる」ので、成長余地、優位性、利益率の検討に集中します。
【よく遡上にあがるけど、買わない銘柄】
高度な労働集約:典型がコンサル。スケールしにくい(規模拡大に伴い質が落ちるか雇用できなくなる)のでパス。バイトで回せる標準化、業務簡素化がないとダメ。
予測可能性が低いビジネス:ヒット商品の有無や為替で業績がブレる、技術や制度革新が早い、理解できない・複数セグメントで分析しにくい、は切ります。単一セグメントで、ストックビジネス、リピート率が高い商品、出店に応じて増益していくシンプルな事業(予測の変数が少ない)を選びます。出店計画が把握しやすい小売が最適です。
堅固な優位性がない・分からない:優位性を言語化できないなんて論外です。相対的な優位性はペケです。「激しい競争の中、勝ち抜いている」のも、薄利や多額の投資が必要となる場合が多く、今は良くても将来的には利益率が下がるのでペケ。無人餃子店をみなさい。競争がほとんどない状態でなければダメ。
成長率10%など「そこそこ優等生」:インデックスとトントンなので激安の場合を除き買わない。
営業CF<<投資CFの会社:価格算定難・増資しないと成長継続できないので不可。
急成長すぎる会社:価格算定できないことが多いので基本は不可。
※DCF法の細かいルール
①永久成長率:現在の成長率が20%以上の場合は3-5%を使い、レンジで出します。利益の20%をROE20-30%で再投資すれば4-6%成長が達成できるからです。「永久」といいつつ、実際に見積もるのは今後20年間くらいの成長率であり、20%成長がいきなり0-1%になるほうがおかしいです。なお、永久成長率0%を採用しないので継続価値算定のFCFにおける投資額の減額調整はしません。
②割引率:あたしが選ぶ小型株はβ=1.3とかで、株主資本コストは9-10%くらい(リスクフリーレート1%+1.3×6)となりますので、資本コストは8%とします。これは、「ROEが8%を超えると株価と連動する」という話やインデックス投資の利回りが7-9%という話とも整合します。資本コストは、結局、「あたしがいくら収益を期待するか」という話ですから、上下させず(金利が大きく動かない限り)8%で決め打ちします。
きちんと記録している令和以降の投資成績は、以下のとおり。
SuriaBK (配当込税引後) | S&P500(配当込ドル建) | |
R1 | +32.4% (1億8141万円) | +31.5% |
R2 | +30.7% ( 2億4758万円 ) ※2月に元本800万円追加 | +18.4% |
R3 | +27.7% (3億1607万円) | +28.7% |
R4 | +6.2% (3億3358万円) | -18.1% |
R5 | +9.9% (3億6856万円) | +26.3% |
R6 | ??? ※1月に2000万円減資 | |
CAGR | +20.8% | +15.6% |